愛着障害の恐れ型(混合型)とは?愛されたいのに距離をとってしまう心理メカニズム
なぜ人との距離を取ってしまうのか?
「近づきたいのに、怖い」
このような矛盾した気持ちを抱えて、人との距離の取り方に悩んでいる方は少なくありません。特に、恋愛や親しい人間関係になると、心がザワザワし始めて、自分でも理由がよくわからないまま、相手から距離をとってしまう──そんな経験はありませんか?
「愛されたいのに避けてしまう」「大切にされると疑ってしまう」
それは、もしかすると『恐れ型(混合型)愛着障害』の影響かもしれません。
愛着障害とは、主に幼少期の人間関係や家庭環境の中で、“人とのつながり”に対する安心感がうまく育まれなかった状態を指します。中でも恐れ型(または混合型)は、「人との関係に強く惹かれながらも、深い関係を築くことが怖い」という、非常に複雑なこころの状態を特徴としています。
このブログでは、恐れ型愛着障害について、専門的な視点から詳しく解説していきます。
✅恐れ型の基本的な特徴とは?
✅なぜ人を遠ざけてしまうのか?
✅幼少期のどんな経験が影響しているのか?
など、混乱しやすいこのタイプのメカニズムを多角的に見つめながら、自分を責めるのではなく「自分の反応の背景」を理解していくきっかけになればと思います。
「自分の心がわからない」「どう関係を築いていいかわからない」 そんな悩みを抱える方が、少しでも安心して“自分自身のこころ”と向き合える記事になればと願っています。
目次
- ○ 恐れ型(混合型)愛着障害とは?
- ○ 恐れ型に見られる行動パターンと感情の特徴
- ○ 恐れ型が形成される心理的背景
- ○ 恐れ型愛着障害|このまま放置するとどうなる
- ○ 恐れ型愛着スタイルの克服方法
- ○ 恐れ型愛着障害でお悩みの方からよくある質問
- ○ 最後に|人との距離感を理解し、自分らしく生きていくために
- ・専門家に相談してみませんか?
- ・お試しカウンセリングのお申込み方法
恐れ型(混合型)愛着障害とは?
恐れ型(または混合型)愛着障害とは、愛着スタイルの中でも特に複雑で矛盾を抱えたタイプです。一般的に「回避型」と「不安型」の両方の特徴を併せ持ち、「人と深く関わりたい」という欲求と、「関わると傷つくかもしれない」という恐れの間で揺れ動きます。
このタイプの人は、他者との親密な関係を求めながらも、いざ距離が近づいてくると、強い不安や警戒心が働き、結果的に相手を遠ざけてしまうことがよくあります。
たとえば、
恋人に愛情を向けられると「裏があるのでは?」と疑ってしまう
信頼できる関係でも、突然シャッターを下ろすように距離を置いてしまう
「人と関わるのが怖い」と感じつつ、孤独にも耐えられない
といったように、つながりへの欲求と防衛反応が常にせめぎ合っている状態です。
この愛着スタイルは、親密さと回避の矛盾を同時に抱えているため、自分でも自分の反応がわからず、混乱しやすいのが特徴です。そしてそれが、対人関係の中で「わかってもらえない」「どうしてこうなるのかわからない」といった孤独感や自己否定につながっていきます。
大切なのは、この混乱には必ず“理由”があるということです。次章では、このような恐れ型の反応がどのような感情や行動として現れやすいのかを、さらに具体的に見ていきましょう。
恐れ型に見られる行動パターンと感情の特徴
恐れ型(混合型)の人が示す行動や感情には、相反する傾向が同時に存在します。これが、本人の中での混乱や自己理解の難しさにつながっているのです。
■ 行動の特徴
近づいては引く
相手に好意を持ち、距離を縮めようとする一方で、突然不安に駆られて距離を置いてしまう。
試すような言動
相手の本気度を確かめたくなり、わざと突き放すような態度をとることがある。
急な自己防衛反応
少しでも傷つきそうな気配を感じると、強い防衛反応を起こし、会話を断ったり、連絡を絶ったりする。
■ 感情の特徴
強い不信感と自己否定
「どうせ自分なんて…」「信じても裏切られる」という思い込みが根深い。
愛されることへの怖れ
「好かれているはずなのに、なぜか不安」という感覚がつきまとう。
感情の振れ幅が大きい
喜びや安心を感じる瞬間と、絶望や恐怖に飲まれる瞬間の落差が激しい。
これらの反応は決して「わがまま」や「気分屋」ではなく、過去の経験から学習された“こころの防衛手段”として現れています。
恐れ型が形成される心理的背景
恐れ型(混合型)の愛着スタイルが形成される背景には、主に「一貫性のない関わり」や「脅威と安心が混在した環境」があります。たとえば、養育者があるときは優しく、別のときは怒りっぽく攻撃的だったり、情緒的に不安定だったりすると、子どもは「この人に近づいても大丈夫だろうか?」という疑念を持つようになります。
特に、安心を求めた先に傷つきや恐怖があると、「人に近づく=危険」という矛盾した学習がこころに刷り込まれてしまいます。
また、幼少期にトラウマ的な経験(暴力・無視・虐待・過干渉など)があった場合、基本的信頼感が育ちにくくなり、他者との関係性に対する慢性的な不安や警戒心を持つことがあります。
このような経験を重ねることで、
安心したいけれど怖い
人に頼りたいけれど信じられない
といった矛盾した反応が、成人後の対人関係に色濃く現れるようになるのです。
なお、恐れ型だけでなく、愛着スタイルには他にもいくつかのタイプがあります。
不安型
人との関係を強く求めすぎて、相手に依存しやすい
回避型
他者との関係を避け、自分の世界に閉じこもる傾向がある
それぞれのスタイルについては、以下のブログ記事でも詳しく紹介しています。
👉 不安型愛着障害とは?人に依存しやすい心理とその背景
👉 回避型愛着障害とは?人との距離を取りすぎてしまう心理と関係の築き方
ただし、これらのタイプはあくまでも「傾向」を知るための便宜的な分類です。
人のこころはもっと複雑で、多面的です。「私はどのタイプだ」と決めつけるのではなく、自分の感じ方や行動パターンを理解するための“参考情報”として受け取っていただければと思います。
恐れ型愛着障害|このまま放置するとどうなる
恐れ型愛着スタイルを抱えたまま過ごすと、親密な関係性において繰り返されるパターンに悩まされやすくなります。
特に以下のような問題が生じやすくなります。
恋愛やパートナーシップでの混乱
相手に好意があるにもかかわらず、距離をとったり、急に突き放してしまったりすることで、関係が不安定になりやすい。
信頼関係の構築が難しい
人を信用したいのにできず、表面的な関係にとどまってしまうことが多い。
孤独と自己否定の悪循環
関わることが怖くて避けるが、避けた結果、さらに孤独感と「どうせ私は…」という自己否定が強まってしまう。
これらは時間が経つほど強化され、「人とうまく関われない自分」を固定化してしまう恐れもあります。そのため、自分の心の動きや関係のパターンに早めに気づき、ケアしていくことがとても大切です。
恐れ型愛着スタイルの克服方法
恐れ型の愛着スタイルを持つ人にとって、自分の反応が「自分でもよくわからない」と感じることは珍しくありません。
「好きなのに怖い」「大丈夫だと思いたいのに信じられない」──そんな矛盾を抱える自分を責めるのではなく、やさしく見つめ直す視点がとても大切です。
ここでは、自己理解を深めるための2つの視点をご紹介します。
■ 「わたしを守ってきたもの」として見る
恐れ型の反応は、“ダメなもの”ではなく、“あなたを守るために身につけた反応”です。
たとえば、誰かに近づいたときに傷ついた経験があれば、「人と距離を取る」ことは、その時のあなたが選んだ最善の防衛手段だったのです。
距離を取ることで、これ以上の痛みを防ごうとしていた
疑うことで、心の安心を先に確保しようとしていた
このように、恐れ型の反応は「過去の自分が、生き抜くために必要だったもの」として理解することで、少しずつ自己否定から距離を取ることができます。
その上で、
「そんな自分がいたんだね」
「そうせざるを得なかったんだね」
と、少しでも自分にやさしく語りかけることが、自己理解の第一歩です。
■ 「二つの声」に耳を傾ける
恐れ型の人の心には、しばしば“矛盾した二つの声”が同時に存在しています。
「つながりたい」
「でも怖い」
この両方の気持ちに優劣をつける必要はありません。
どちらも“あなたの大切な感情”です。
たとえば、誰かに優しくされたとき、うれしさと同時に不安や疑いが生まれることがあります。
それはあなたが「安心を求めている部分」と「傷つくことを恐れている部分」が、それぞれの立場からサインを出しているということ。
このとき、「どちらかを打ち消す」のではなく、紙に書き出すなどして両方の声に耳を傾けることで、自分の内面のバランスを取り戻しやすくなります。
自分の気持ちを整理する力は、誰の中にも少しずつ育っていくものです。
恐れ型愛着障害でお悩みの方からよくある質問
恐れ型(混合型)の愛着スタイルに悩む方の中には、「これって自分だけなの?」「どう向き合えばいいのか分からない…」と感じている方も少なくありません。
ここでは、そんな方たちがよく抱く疑問を5つ取り上げ、それぞれに対して専門的な視点から丁寧にお答えしていきます。
Q1. 親密な関係になると、不安で距離をとってしまいます。どうしたらいいですか?
恐れ型の方にとって「近づく=傷つくかもしれない」という無意識の警戒心が働くのは、ごく自然な反応です。重要なのは、自分の中にある“距離を取る癖”に気づき、そこに責めるのではなく理解の視点を向けること。「今、不安になってるんだな」と心の状態を言語化するだけでも、少し落ち着きやすくなります。
Q2. 相手を信じたいのに、疑ってしまって苦しいです。
恐れ型の方は、過去に「信じた人に裏切られた」「優しくされた後で傷ついた」といった体験を持っていることが多く、その記憶が“信じること”への恐れとなって現れます。信じられない自分を責めるのではなく、「信じることが怖いのは当然」と、自分の傷つきやすさを抱えながら、信頼を“育てる”姿勢で少しずつ関係性を築いていきましょう。
Q3. どうしても人と距離を置いてしまって、孤独です。
恐れ型の人にとって、関係性には「安心したい」と「怖い」の二つの声が共存します。無理に「近づこう」と頑張る必要はありませんが、「誰かとつながりたい」という気持ちがあるなら、その声を否定せずに、安心できる小さな関係から始めてみるのが良いかもしれません。
Q4. 自分の気持ちがコロコロ変わって、自分でもわからなくなります。
恐れ型の方は、過去の経験から「今の気持ちをそのまま出すこと」が難しいケースが多いです。こころの揺れが大きいのは、それだけいろんな感情を抱えている証拠。気持ちを否定せず、「どんな感情があるか?」を整理する習慣をつけると、自分自身との関係も少しずつ安定していきます。
Q5. 一人で取り組んでいくのが不安です。誰かに頼ってもいいのでしょうか?
恐れ型の方にとって、誰かに頼るという行動はとても勇気のいることだと思います。でも、誰かと一緒に心を整理していくことは、「安心できる関係性」を実際に体験する機会にもなります。専門家に相談することは、自分を理解しなおすプロセスを安全に進めるためのサポートになります。ひとりで頑張らず、「頼っても大丈夫」という選択肢も、ぜひ検討してみてください。
最後に|人との距離感を理解し、自分らしく生きていくために
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。いかがでしたか?
恐れ型(混合型)の愛着障害は、複雑でわかりにくく、「自分が悪いのでは」と悩みを抱え込みやすい特徴があります。
でも本当は、その反応のひとつひとつには、あなたなりの理由や過去の背景があるのです。
「つながりたいのに怖い」というこころの揺れは、決してあなたの弱さではありません。
このブログが、そんな揺れを少しずつほどいていくきっかけになれば嬉しいです。
専門家に相談してみませんか?
恐れ型の愛着障害は、自分ひとりで抱えていると、どうしても“堂々巡り”に陥ってしまうことがあります。
安心できる人との対話を通して、「こんなふうに感じていたんだ」と自分を発見していくことは、心の癒しと変化につながっていきます。
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投稿者プロフィール

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私自身も、かつて愛着障害で苦しんだ過去があります。
「満たされたい一心で無理をしてしまう」
「人の顔色を常に気にして、本当の自分を押し殺してしまう」
そんな日々を過ごす中で、いつの間にか自分のこころの声を簡単に無視できるようになっていました。
その結果、パニック障害からうつ病となり、3年間引きこもり生活を余儀なくされました。
「同じような悩みを持っている方に、私のように時間を費やしてほしくない」そんな想いで取り組んでおります。
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