【こだわりが強くて生きづらい】大人に多い愛着障害と発達障害の違いとは
周りの人はサッと切り替えたり、臨機応変に対応できるのに、どうして私はこんなに細かいところにこだわってしまうんだろう... 日常の中でふと、そんな違和感や生きづらさを感じることはありませんか?
たとえば、些細なルールの違いが気になってイライラしてしまったり、自分なりのやり方に強いこだわりがあって、人とぶつかってしまう。そんな時、「私って性格が悪いのかな」「発達障害かもしれない」と、自分を責めてしまう方も少なくありません。でも、こだわりが強いことの背景には、実は“脳の特性”や“心の安全欲求”といった、もっと深い理由が隠れていることがあります。そしてその理由は、大きく分けて「発達障害」と「愛着障害」という二つの視点から理解することができます。
このブログでは、「こだわりが強い大人」の背景にある心理と脳のメカニズムに焦点を当てながら、発達障害と愛着障害の違いをわかりやすく整理していきます。
自分を責めるのではなく、自分の特性に気づき、ラクになるヒントを見つける。そのための第一歩として、ぜひ最後まで読み進めてみてください。
目次
- ○ こだわりが強い大人のよくある悩み
- ○ 発達障害と愛着障害|それぞれの「こだわり」の違い
- ○ 心の成り立ちから見る|愛着障害と発達障害の違い
- ○ 愛着障害と発達障害|見逃されやすいグレーゾーン
- ○ 「診断」よりも大切な、自分のパターンへの気づき
- ○ こだわりとうまく付き合うためのヒント
- ○ まとめ|少しの余裕で自分らしく
- ・1人では難しいと感じたら
- ・ お試しカウンセリングのお申込み方法
こだわりが強い大人のよくある悩み
「こだわりが強い」と言われることに、心当たりのある方は少なくないでしょう。
たとえば、
- 自分なりの手順や順番が崩れると、落ち着かなくなる
- 細かいことが気になって、周囲の言動にイライラしてしまう
- 他人のやり方が気に入らず、つい口を出してしまう
こうした行動が続くと、職場や家庭で「扱いにくい人」「頑固な人」と思われ、人間関係のトラブルにつながることもあります。
本人としては「正しさ」や「丁寧さ」を大事にしているつもりでも、周囲とのズレが大きくなるほど孤立感が深まり、「どうして自分はこんなにうまくやれないんだろう」と自信を失いやすくなっていきます。また、何ごとも“こうであるべき”という思考にとらわれやすく、柔軟な対応ができない自分を責めてしまう人も多いのです。
このような悩みの根底には、「こだわり=悪いこと」という誤解や、自己理解の不足が隠れていることがあります。 「もしかして発達障害かも」「育った環境が影響しているのかもしれない」と、自分の“生きづらさ”に名前や理由をつけたくなるのは自然なこと。
次は、こうしたこだわりの現れ方が、発達障害と愛着障害でどう異なるのかを整理していきましょう。
発達障害と愛着障害|それぞれの「こだわり」の違い
「こだわりが強い」と言っても、その内側にある理由や意味は人によってまったく異なります。特に発達障害と愛着障害では、似ているように見える“こだわり”の行動も、その背景にある心理や目的がまるで違うことがあります。
ここでは、両者に見られるこだわりの特徴を整理しながら、それぞれの違いを見ていきましょう。
発達障害(とくに自閉スペクトラム症)の場合、こだわりは「予測可能な世界」を保つための働きであることが多くあります。日常の中でのルールや順番、手順、感覚の過敏さなどに強く反応し、変化や曖昧さに対する不安や混乱を避けるために、自分なりの“型”に固執しやすくなります。
たとえば、いつも同じ道順で通勤しないと落ち着かない、予定変更があると強いストレスを感じる、服の素材や音に過敏に反応するなど、感覚やスケジュール、物事の進め方への強いこだわりが見られることが特徴です。
また、本人にとっては「安心できる枠組み」であっても、周囲には「融通がきかない」「細かすぎる」と誤解されてしまうことがあり、そこから対人関係の困難に発展するケースも少なくありません。
一方で、愛着障害におけるこだわりは、人との関係の中で安心感を得るためのコントロール欲求として現れることがあります。「こうあるべき」「こうしなければ嫌われる」といった信念が背景にあり、相手の反応や関係性に過敏に反応し、心の安定を保つために“こだわり”を発揮するのです。
たとえば、「連絡はすぐ返さなきゃ」「相手に嫌な顔をされないように先回りしなきゃ」「ちゃんと好かれる振る舞いをしなければ」といった思考や行動が、無意識のうちに積み重なっていきます。これは、過去の人間関係で安心できなかった体験──たとえば親からの拒絶、不安定な接し方、感情の否定など──によって、「見捨てられないための工夫」として身についた行動パターンです。
一見、相手への配慮や努力のように見えるこだわりでも、内側では「本当の自分を見せたら嫌われるかもしれない」という不安や緊張が強く働いていることがあります。そのため、愛着障害におけるこだわりは、自分を守るために“がんばりすぎている状態”とも言えます。行動が過剰になったり、人との距離感が極端になったりする背景には、深い人間関係への不安があるのです。
発達障害のこだわりは、本人にとっては無意識のうちに出てくるものであり、状況の変化や刺激への過敏さに対する“反応”としての行動であることが多くあります。誰かに見られているかどうか、どう思われるかに関係なく、「自分の中のルール」や「感覚的な落ち着き」を守ることが主な目的になっています。
一方で、愛着障害のこだわりは、「人との関係性の中での安心感」を得るための行動です。「嫌われたくない」「拒絶されたくない」「見捨てられたくない」といった対人不安が強く関係し、こだわりはその不安をコントロールするための“防衛反応”として表れます。
たとえば、発達障害の方は「椅子の位置がズレていると落ち着かない」「予定が変わると混乱する」など、外的状況のズレに反応する一方で、愛着障害の方は「この言い方だと誤解されるかもしれない」「今すぐ返信しないと嫌われるかもしれない」といった、他者の気持ちや評価に対する過剰な気づかいがこだわりとして現れます。
このように、「何を守ろうとしてそのこだわりが出ているのか?」という視点で見ることで、自分のこだわりが“内的な秩序”のためなのか、“関係性の安全”のためなのかが見えてきます。こだわりの“見た目”は似ていても、その背景や目的が異なることに気づくことが、自己理解を深めるうえでとても重要な一歩になります。
心の成り立ちから見る|愛着障害と発達障害の違い
表面上は似て見える「こだわり」の行動も、その背景にある“心の成り立ち”に目を向けると、愛着障害と発達障害では根本的な違いがあることが見えてきます。
発達障害におけるこだわりの多くは、脳の機能的な偏りや特性によって引き起こされます。とくに前頭前野や感覚処理に関係する脳のネットワークが一般とは異なる働きをすることで、刺激への過敏さや変化への不安が強まり、こだわりとして表れるのです。
これはあくまで「神経発達の個性」とも言えるもので、環境に左右されにくく、幼少期から一貫して現れることが多いという特徴があります。
一方で、愛着障害のこだわりは、幼少期の人間関係の中で身についた“対人不安”のパターンから生まれます。たとえば、親からの一貫性のない対応や、無視・過干渉などによって「安心して甘えられない」経験を繰り返すと、人との関係に強い不安や不信感を抱くようになります。
その結果、自分なりの「安心のかたち」や「傷つかないための行動ルール」を身につけ、それがこだわりとして固定化していくのです。
発達障害では、こだわりは刺激や変化への反応として起こることが多く、外的な人間関係とは無関係に生じます。それに対して愛着障害のこだわりは、人間関係のストレスや不安を和らげるための行動であることが多く、対人関係の中で強く表れる傾向があります。
つまり、こだわりが「人の目や関係性によって左右されるかどうか」が、両者を見分ける重要なヒントになるのです。
愛着障害と発達障害|見逃されやすいグレーゾーン
発達障害でもなく、愛着障害とも断定しづらい――。そんな“はざま”にいるような感覚に悩む人は少なくありません。
明確な診断を受けていないものの、「人間関係がうまくいかない」「同じようなパターンでつまずく」「生きづらさを感じている」といった状態が続くと、「私はいったい、どうしてこんなに苦しいのだろう?」と戸惑いを抱きやすくなります。
ここでは、そんな“グレーゾーン”と呼ばれる状態について、その特徴や心理的な影響をみていきます。
発達障害と愛着障害の特徴がはっきりと分かれている場合は、比較的理解しやすいかもしれません。しかし実際には、そのどちらにも完全には当てはまらない、いわゆる“グレーゾーン”の状態にある人が多く存在します。たとえば、発達障害と診断されるほどの特性の強さはないけれど、「こだわりの強さ」や「対人関係のぎこちなさ」に苦しんでいる。あるいは、子ども時代の愛着の傷があったとしても、自覚が乏しく、問題の原因に気づかないまま過ごしていることもあります。
また、自分自身が「診断を受けるほどではない」と思っていても、日常生活で不安や不適応を感じているというケースも少なくありません。たとえば、「空気が読めないと言われたことがある」「人と関わると疲れやすい」「マイルールが多い自覚はあるけど、変えるのが怖い」などの状態が積み重なり、心の中では“自分はどこにも当てはまらない”という孤独感を抱えがちです。
このグレーゾーンの人たちは、「自分は何者なのか」がわからず、長年自己否定感や孤立感を抱えやすくなる傾向があります。周囲からは「ちょっと変わってるだけ」と捉えられたり、逆に「頑張ればできるでしょ」と言われたりすることもあり、適切なサポートにつながりにくいのが現実です。
さらに、発達特性がベースにありながらも、家庭環境や対人経験の中で愛着的な課題が重なっているケースでは、本人自身も「何が自分にとって一番の苦しさなのか」がわかりにくくなり、苦しさが長期化してしまうことがあります。こうした複合的な背景を持つ人に対して、単純な診断名や一つの視点だけで判断しようとすると、かえって混乱を深めてしまうこともあるのです。
グレーゾーンの苦しさは、“ラベルがないこと”そのものではなく、「自分の状態を理解しにくいこと」や「人に説明できないこと」から来るのです。
だからこそ、診断名にとらわれず、自分の心の動きやパターンを見つめ、「私はどういうときに生きづらさを感じやすいのか?」「その背景にはどんな経験や思い込みがあるのか?」という視点を持つことが、自己理解への大切な一歩になります。
「診断」よりも大切な、自分のパターンへの気づき
「もしかして発達障害かも」「愛着に問題があるのかもしれない」と、悩みの原因を探そうとすること自体は、とても自然な行動です。ただし、診断名にとらわれすぎると、自分の本質や本当の困りごとから遠ざかってしまうこともあります。
大切なのは、「私は診断されるのかどうか」ではなく、
「どんなときにこだわりが強くなるのか?」
「そのとき、私はどんな気持ちを抱えているのか?」
といった、自分の内側のパターンに目を向けることです。たとえば、ある人は「予定通りに進まないと落ち着かない」と感じ、別の人は「人に合わせすぎて苦しくなる」と悩みます。どちらも“こだわり”として現れる行動かもしれませんが、その背景にはまったく異なる不安や価値観が隠れているのです。
診断名はあくまで一つの目安。自分を理解するヒントの一つとして活用しながら、最終的には“自分の特性とのつきあい方”を見つけていくことが、心の安定や日常生活のしやすさにつながっていきます。
名前のつかない違和感や生きづらさにも、必ず理由があります。その意味を自分なりに見つけていくことで、少しずつ心が軽くなることもあるのです。
こだわりとうまく付き合うためのヒント
「こだわりが強い」と言われると、つい「直さなきゃ」「手放さなきゃ」と思いがちですが、大切なのは無理に消すことではなく、その奥にある自分の気持ちや不安に気づくことです。
ここでは、「こだわり」と共に生きていくための4つの視点をご紹介します。
「もっと丁寧にやらなきゃ」「あの人に嫌われないように気をつけなきゃ」など、強い“こうあるべき”に縛られてしまうとき、その裏には「不安」「怖さ」「寂しさ」などの感情が隠れていることがあります。行動や思考の形を変えようとする前に、「私は何を感じているんだろう?」「どうして今、ここまでこだわっているんだろう?」と、感情に目を向ける時間を持つことが、自分とのつながりを取り戻す第一歩になります。
こだわりが強い人には、「〇〇すべき」「××はNG」など、無意識のうちに多くの“マイルール”が存在しています。それ自体は悪いことではありませんが、可視化されないまま自分を縛ってしまうと、苦しさが増してしまうのです。
紙に書き出してみると、「こんなにたくさんあるんだ」と気づくと同時に、「これはもう必要ないかも」「今は緩めてもいいかも」という選択肢が見えてきます。
誰かとの関係で強いこだわりが出てきたとき、こんな問いを自分に投げかけてみてください。
- 📝 今、私は誰にどう見られることを怖がってる?
- 📝 私が一番避けたいことは何?
- 📝 この不安は“今”のもの?それとも“過去”の再現?
こだわりが自動的に出てしまう時こそ、「私、今すごくがんばってるんだな」と自分を見守る視点が大切です。
ルールを守ることや丁寧さにこだわってしまう背景には、「失敗したくない」「責められたくない」といった安心を求める気持ちが隠れていることがあります。
「私は何に安心できると感じるんだろう?」「このこだわりがあるとき、私は何から自分を守ろうとしているんだろう?」と問いかけてみることで、こだわりの“守ってくれている面”にも気づけるかもしれません。
こだわりを手放すことよりも、まずはその背景にある「私の気持ち」と対話すること。それが、こだわりと上手につきあうための第一歩です。
まとめ|少しの余裕で自分らしく
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
いかがでしたか?
「こだわりが強い」と言われて落ち込んでしまうとき、自分でも「どうしてこんなに気になるんだろう…」と悩んでしまうとき、それはあなたが繊細に、丁寧に、まわりと向き合ってきた証でもあります。
発達特性からくるこだわりも、愛着の傷からくるこだわりも、どちらもあなたの中にある「安心したい」「大切にされたい」という気持ちがつくり出した“守りのかたち”です。だからこそ、こだわりを無理に変えようとするのではなく、まずは自分を理解し、自分の心と丁寧に付き合っていくことが何より大切です。
1人では難しいと感じたら
もし、こだわりの背景にある思考や感情のクセを一人で整理するのが難しいと感じたときは、ぜひ専門家を頼ってみてください。
当カウンセリングルームでは、発達特性や愛着の課題に悩む方に向けて、「お試しカウンセリング」をご用意しています。
- 自分の“こだわり”がどこから来ているのか
- 対人関係や仕事での生きづらさにどう向き合っていけるのか
を一緒に整理しながら、あなたに合った関わり方やセルフケアを見つけていくお手伝いをしています。

お試しカウンセリングのお申込み方法
お試しカウンセリングは、オンラインで気軽にご利用いただけます。
下にある「ご予約はこちらから」ボタンから、申込みフォームにアクセスしてご予約ください。
初めての方も安心してお話しいただけるよう、丁寧にサポートいたします。
「私、こんなふうに感じていいんだ」
「こうすれば少しラクになるかも」
こんな小さな気づきが、こだわりとの付き合い方をやわらかく変えてくれるはずです。
あなたの中にも、「少しの余裕」や「自分らしさ」が静かに息づき、日々の選択や人との関わりの中で、自然と育っていきますように。焦らず、比べず、あなたのペースで歩んでいけますように。
投稿者プロフィール

-
私自身も、かつて愛着障害で苦しんだ過去があります。
「満たされたい一心で無理をしてしまう」
「人の顔色を常に気にして、本当の自分を押し殺してしまう」
そんな日々を過ごす中で、いつの間にか自分のこころの声を簡単に無視できるようになっていました。
その結果、パニック障害からうつ病となり、3年間引きこもり生活を余儀なくされました。
「同じような悩みを持っている方に、私のように時間を費やしてほしくない」そんな想いで取り組んでおります。
最新の投稿
- 2025年6月27日ブログ【こだわりが強くて生きづらい】大人に多い愛着障害と発達障害の違いとは
- 2025年6月13日ブログ本気になれない私──愛着障害がもたらす心のブレーキとその正体
- 2025年6月6日ブログ【愛されたい症候群】 満たされない恋愛ばかり繰り返してしまう深層心理
- 2025年5月30日ブログ【都合のいい女をやめたい】大事にされない恋愛を繰り返す理由と抜け出す方法